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Shawn Lee インタビュー |
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以前からサイレント・ポエツをご存知だったそうですね。 |
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Shawn Lee(以下S): |
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'92年に「ニュージャズ・ニューヨーク・ジャイアント・ステップ」ってのがあってね。日本の〈ストレイト・ノー・チェイサー〉みたいなもんだけど、そこでコラボレートしたことがあるんだよね。 |
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そのときの印象は? |
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S: |
日本のクラブミュージックとの出会いの最初が、サイレント・ポエツだったと思うな。それから竹村延和やマンデイ満ちるに出会ったんだ。そうだねぁ、あの頃の日本のクラブミュージックはアメリカよりもロンドンよりも、もっとジャジーだったし、独特のダビーな雰囲気が漂っていたね。エレクトロニクスも…いろんな要素が混ざり合っていて、ヨーロッパともアメリカとも全然違う音楽を作っていたんじゃないかな。僕はけっこう好きだったよ。 |
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今回のプロジェクトに参加した理由は? |
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S: |
いろんな時に知り合った、いろんな国のアーティストが繋がりあっているプロジェクトだから面白いと思ってね。いろんなタイプのアーティストが一緒にやるのはいいことだよ。新しいものが生まれるきっかけになる。小さな点が繋がっていって、またいつか誰かと誰かが何年後かに一緒に音楽を作るきっかけにもなるしね。 |
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サイレント・ポエツのデモを聴いた最初の印象は? |
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S: |
ドリーミーでメロウでダビーでジャジーだと思ったね。どれも僕の好み。そういう音楽に参加してくれって選んでもらえるのはすごく光栄なことだと思うよ。 |
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最初にとりかかったのはどんなところから? |
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S: |
感情的で詩的なアプローチからだね。ストリングスが奏でようとしている感情を理解したりね。歌詞のアイデアを書き散らかしてはまたまとめたり。3つのパートのベーシックなコンセプトがあったんだけど、それをトラックに当てはめていって・・・これは行ける、これはダメだと自分で選びなおすんだ。『じゃ、次のトラックではどうだろう』とかね。それからまた新しいアイデアを出してきて…たくさんのアイデアがあったからとくに苦労はしなかったよ。考えなくてもダメだし、考えすぎてもダメなもんだよ、こういうプロジェクトはね。 |
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サイレント・ポエツの音楽に日本的な何かを感じることはありましたか? |
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S: |
そうだな…日本の音楽で僕が知っているもの全部に言えることだと思うけど、まずアメリカやヨーロッパの音楽的なアイデアが最初にあって、その二つを混ぜ合わせて、何らかの日本的なフィルターが通っている音に聞こえるんだ。ミックスして抽出されたものは、欧米の音楽の繊細なところだった、ってわけさ。それが日本のこういう音楽にはすべからく感じられるね。真似をしているというよりは、繊細に抽出しているという気がするよ。欧米のアートフォームへの畏怖の念も感じられるし、僕らには聴きなれた音楽でも日本人は繊細に聴き取ろうとしているんじゃないかな。 |
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いろんな国のいろんなアーティストと仕事をしていますが、今回とくに〈ここが違うな〉と思ったことはありましたか? |
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S: |
どんなアーティストと仕事をするときもみんな異なっている。それが新鮮だということだな。新鮮さと畏怖の念。その音楽とそれを作っている人へのね。僕と異なるヴィジョン、僕と異なるアプローチ。でも、僕のスタイルを強引に押し広げたり、押しつけたりしちゃいけない。みんな違うんだ。作り方だって違う。その流れに気持ちよく、誠実さを持ってのっかっていくのが一番だ。全ての曲は、違う曲だ。やっている人の色も違う。同じになりようがない。同じになっているのだとしたら、その差異を尊重せずに自分を押しつけるからだ。音楽は決まりきった儀式の繰り返しじゃないんだよ。 |
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エバートンのレコーディングスタジオの様子はご覧になっていかがでしたか? |
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S: |
いろんな人のいろんなアイデアが飛び交っていて楽しかったな。ストリングスの音はすごくエモーショナルで僕を刺激してくれた。まるで魔法にかかったみたいな次元にいたよ。とっても立体的な感じでね。その立体物に上っていくような気分だったな。 |
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レコーディングの後にサイレント・ポエツに新たに発見したことは? |
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S: |
エバートンのストリングスが新しい次元と効果を生んでいたね。エレクトロニックなジャズやダブから新しいところに行こうとしているってのはすごく共感できる。〈アナログ〉にしか出来ないことが常にあるもんなのさ。仕上がりはもっとパワフルでもっと強いものになっていると思うな。様々なアイデアが結集してこそのコラボレーションだからね。 |
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アランとの仕事はいかがでしたか? |
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S: |
ワッハッハ!うん、面白いね。僕にはミステリアスなヤツだよ。彼はポリージアンだからね。彼はイギリス人のことがよく分かっていないんだけど、それでも何か上手くいくんだよね。うん、実にいろんな国の文化的素養を理解していると思うんだな。アジアの背景だってあるしね。途切れた輪っかを丸く繋げる力があるんじゃないだろうか。大好きだと。とにかく面白い男だ。 |
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エヴァートンとは一緒に演ってみてどうでしたか? |
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S: |
もう十年も会ってなかったけどね、すごく優秀なヤツだね。会っていないときにも彼が参加した作品にはよく出くわしたしね。様々な機会を経てますます才能を伸ばしているんだね。彼とまた一緒に仕事が出来ることは素晴らしい特権だと思っているよ。もっと一緒に仕事をしてみたいな。ぜひ、またやろうぜ!(笑) |
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このアルバムを音楽以外の他に喩えるとしたら、何? |
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S: |
いい質問だねーっ!…うーん、そうだな〈眠れる虎〉ってのはどうだい?すごくエキゾチックだろう?もしかすると危険かもしれないけど、眠っている姿は美しい。〈スリーピング・タイガー〉。どうだい?悪くないだろ? |
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これからの予定は? |
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S: |
次のショーン・リーのアルバムを作るかな。年内には完成したいね。前と似てはいるんだけど、そこからもう少し先に手を伸ばした感じで、バックトラックにももっと気をつかいたい。サンプル音源にもね。アメリカ人アーティストとのコラボ・アルバムの準備もしているよ。ま、いつ出来上がるか分からないけど。ショーン・リーってのは実はプロジェクト名みたいなもんなんだ。だから違う名義で何枚アルバムを作るか分からないよ。もしかすると三枚…いや、四枚かな…。 |
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Interveiw by Tomoki Ohno |