80年代のレイブ・シーンから90年代初頭のジャングルへと進化していくブレイク・ビーツが生まれた時代。
その当時、More Rockersという名のもとに、アーティストとレーベルの集合体が結成された。それは、ロブ・スミスとピーター・D・ローズを中心に、彼等の地元ブリストルの才能を巻き込みながら形成されていった。ブリストルは、マッシブ・アタックやトリッキー、スミス&マイティ、そして後にポーティスヘッドやロニ・サイズ&レプレゼントなどで有名になる都市である。
ピーター(初期のマッシブのラインナップに名を連ねた1人)と、ロブ(スミス&マイティの片割れ)は、長年の友情と互いの作品に対するリスペクトののち、ついに結束し、ある意味モダン・ミュージックの様相を変えることになる新基軸を作り上げた。ブレイク・ビーツ、ダブ、スウィートなソウル・ヴォーカルをレゲエとジャングルのテンポにブレンドさせる彼等の手法は、伝染性のあるコンビネーションを生み出した。
More Rockersのファースト・シングル『The Rain』は、94年11月にMRRよりリリースされた。そして、Marilyn McFarlaneのソウルフルなボーカルとKrustとRoni
Sizeによるリミックスを追加した『Your Gonna』がそれに続いた。
彼等のデビュー・アルバム『Dub plates selection Vol 1』が95年にリリースされた。これは、ジャングル/ドラムン・ベースを基盤にした初のアーティスト・アルバムとして知られている。自身のダブ・プレートをミックスしながら、ロブとピーターはすぐにこのクリエイティブな行為はスタジオでもパーティでもうまくいくことに気づいた。その結果が、あらゆるものがミックスされたトラック集であり、ヘビーなベースとブレイク、そして何より重要な『ダブ・ルーツ』のエレメントが幾重にも重なったフリースタイルのセッションとなった。
シングルのリリースを続け、そしてセカンドアルバム『Selection 2』を出したあと、Paul OakenfoldやDread zone、Bally Sagooらへのリミックスの提供、Joanna
Lawをフィーチュアした『First time ever I saw your face』のリワーク(メロディー・メイカー紙の評論家に『ダブ・エフェクトの見事な使い方と背骨を突き動かすコード』によってシングル・オブ・ザ・イヤーに選ばれた)などを通して、ロブとピーターはMore
Rockersのサウンドを作り続けていった。
また、DJとしても、トルコやスロベニア、スペイン、ポルトガル、ドイツ、フランス、アイルランドを含むヨーロッパのみならず、日本やシンガポール、オーストラリア、チリ、アメリカ、カナダまで、世界中をツアーして回っている。
More Rockersのシングル・コレクションと多くのヴァージョンが、『12" selection』にフィーチュアされ、ダイアナ・ロスの「Love hangover」のカバーである「The
Cure」も含まれた。
2004年には、ダブ=ドラムン・ベースのスタイルにヴォーカルを中心とした曲を集めた『Selection 3』がリリースされる。More Rockersのストーリーは、まだまだ続く。 |