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INTERVIEW インタビュー
Interview with Shaun Ryder
--- ブラック・グレープのアルバムを出してからずいぶん時間が経つけど、「Amateur Night in the Big
Top」のレコーディングに入ろうと決めたのは何故?
Shaun Ryder (S):
ああ、まず、ブラック・グレープはもう存在しないんだ。あれはな、純粋に俺のためのものであって、その後でダニーとカーミットが入ったんだ。あれは、本当のバンドじゃないんだ。そんな感じだったから、うまくいかなくなって解散したんだ。もう2度とやらないよ。「Amateur Night」は、俺たちがハッピーマンデーズの再結成ツアーをやっていて、6ヶ月だけやる予定だったんだけど、結局2年半もやっていて、というのも俺たち自身も楽しんでいたからなんだけど、でも2年もしたらまた嫌になって、もうツアーはやりたくねえ、ギグを何回かやるならいいけど、ってことになって、とにかく、何もかも嫌になったんだ。飛行機に乗ってまた酒を飲んで、それでオーストラリアでそれをやめることにしたんだ。俺のいとこのピーターがオーストラリアで" Off World"っていうレコードレーベルをやっていて、2ヶ月そこにいたら、やっと音楽を聴く気になったんだ。それまでは音楽を聴くのも耐えられなかった。俺は何もかも嫌になってたんだ。MTVがついてたらすぐに消すくらい嫌だった。ツアーが俺を音楽嫌いにさせたんだ。本当は音楽が好きなのにな。で、数ヶ月チルアウトした後に、音楽をまた聴き始めて、ピーターが「やってみようぜ」って言ったんだ。ピーターは家にスタジオがあるからそこで何曲かジャムって、それで、物語を話すようにやってみて。そう、スタジオに行って、物語を話したんだ。で、どうせやるんだったら、ブラック・グレープともハッピー・マンデーズとも全く違うものを作ろうぜってことになった。
"Scooter Girl"と"Shape Shifter"はきちんと構成された曲だ。俺はピーターのレーベルに参加したかった。だから「Amateur Night in the Big Top」をリリースしたんだ。俺のいとこだってことで金ももらわずにやったんだ。
--- このアルバムはオーストラリアでレコーディングされたわけだね。ところで、君はオーストラリアでハッピー・マンデーズのアルバムのレコーディングもしたって聞いたけど。
S: いや、オーストラリアでは、俺のお気に入りのマンデーズの曲のリミックスをやったんだ。"Kinky Afro"とかね。DJで使う用に。
--- オーストラリアでは何か特別なことはあった?
S: 俺のファミリーはオーストラリアにいるし、レーベルもあるし、それともうひとつ、俺はフロントマンになりたくなかったんだ。フロントマンとして仕事で出かけるのは問題ないんだけど、楽しんだことはないんだ。スタジオでジャムりながら曲を作るときは楽しいんだけど、フロントマンとしているのは、身体的にも精神的にも苦痛だったんだ。ずっとフロントマンとしてやってきたけど、やりたくなかったんだ。それが仕事だったんだけど、今20年も経って、俺も42歳だし、プロデュースの仕事に回ってもいいころだろう。それに、オーストラリアには「ショーンライダー・サウンド」を持ってるバンドがいて、だから俺は今プロデュースの仕事をしたいんだ。
--- それも「Amateur Night」でツアーをしたくなかった理由の一つなの?しばらくは外に出たくないとか?
S: オーストラリアではいくつかライブをやろうと思っているよ。「Amateur Night」の曲とマンデーズのリミックスを何曲か。でもやってもオーストラリアと日本だけだね。
--- アルバムにはいろんな種類の音楽の要素が入っているけど。例えば、ブレイクビーツとか、マンチェスターのヴァイブとか、クラブミュージックの要素とか。最近はどんな音楽を聴いてるの?
S: いつでも同じだけど、ブレイクビーツ、ヒップホップ、ロックンロール、ファンクとか、昔のレゲエとか。
--- 君がエミネムのファンだって言ってるのを聞いたことがあるけど。
S: ああ、エミネムはここ数10年で最高のリリシストだと思うよ。
--- トニー・ウィルソンが君のことをボブ・ディラン以来最高のリリシストだと言ったことについてはどう思う?
S: ああ、トニーはすごいいいやつだけど、くだらねえことばっか言ってんだよ。
--- そういう賛辞は受け取りたくない、と。
S: ああ、いやだね。本心じゃないって分かるから。こういう類のことはいやなんだよ。
--- DJについてはどう?君がDJするとたくさんの若い子たちが来るよね。彼らが80年代のマンチェスターを知っているとは思えないんだけど。そういう若いオーディエンスに向かってDJするのはどんな気分?
S: 素晴らしいよ、俺が初めてDJをやったときは、何が求められているのか分からなかった。18歳の子もいるし、20歳の子もいるし、なぜか奇妙な30歳の奴もいるし。まあ、そんな10代の連中ってさ、兄貴がマンデーズ好きだったとか、下手したら親がマンデーズのファンだったとかってこともあり得るわけだろ。そういう子たちがレコード屋でマンデーズのCDを探して買って、酒を飲んでドラッグきめて、で、朝の6時までパーティしてるわけだよ。夜の10時にはホテルへ帰るぜって言っても、なんだよお前、24時間パーティ人間じゃないのかよ、って言われてさ。だから、よし分かった、お前らが42歳になったらどんなかを見せてやるぜって感じだな。分かるか?
--- 音楽のインスピレーションは何?
S: 俺にとっての音楽は、モータウン、ファンク、ソウル、ストーンズ、ドアーズとかのクラシックなもの、それとファンクのヴァイブのあるものだ。俺は北イングランドで育ったから、大きなノーザンソウルのシーンがあったんだ。いつもそれに影響を受けてたし、マンデーズのベースラインを聴いたら、それはモータウンのベースラインのパクリだって分かるだろうよ。ちょっとだけ、手を加えて使ってるんだ。
--- それじゃ、ストーン・ローゼズについてはどう思う?何度も彼らのギグを見てると思うけど。
S: ああ、何度か見てるよ。
--- 彼らについてどう思う?
S: ああ、素晴らしいバンドだよ、素晴らしいポップバンドだ。
--- イアン・ブラウンのソロ作品は聴いた?
S: ああ、聴いたよ。
--- じゃあ、ダンスミュージックについてはどう思う? 君がハシエンダでやってたころは、今とは全く違ったダンスシーンがあったと思うんだけど。
S: ダンスミュージックでもレイヴシーンでも何でもいいんだけどな。例えば、ロックンロールが58年から59年に起こって、パンクが76年から79年に起こったように、どんなシーンも数年しか続かないもんなんだ。で、ダンスシーンが出てきて、俺はそれも同じだと思ってたんだが、今、ダンスシーンは20年も続いている。でもダンスシーンにいたキッズも大人になって、ライブバンドなんかを見るようになってきた。今、人はいろんな種類の音楽を聴いているんだよ。
--- では、君がアシッドハウスのレコードを回しているのを初めて聴いたのは?マイク・ピッカリングのDJ?
S: ああ、多分マイク・ピッカリングだな。
--- 君とセントラル・ステーションの関係は?ハッピー・マンデーズとブラック・グレープのアートワークやビデオを一緒にやっているよね。
S: セントラル・ステーション、ショーン・ライダー、Off World Soundsは皆繋がっているんだ。というのも、俺たちは皆ファミリーだからな。セントラル・ステーションは、Pat Carol、Karen Carol、Matt Carol、Off World SoundsはPeter Carol。これが俺のファミリーなんだ。みんなファミリーなんだよ。
--- 彼らのアートについてどう思う?
S: 俺のいとこだけど、すげえいいよな。
--- マンチェスターは工業都市だけど、独自の音楽シーンを常に持っているよね。マンチェスターとロンドンの違いは何だと思う?
S: 今話すとすれば、ロンドンはマンチェスターよりもずっといいと思う。マンチェスターでは俺はもう外出しないんだ。クソだぜ。今、ハシエンダ以前に戻っちまっている。ゴミだよ。きれいな靴と、きれいなズボン、白いシャツを着てないとどこへも入れやしない。そんなバケげた決まりがあるんだ。ロンドンでは、アディダスのジャージでクラブへ行っても何の問題ないんだ。マンチェスターはどこもかしこも観光客で溢れていてひどいもんだ。白いシャツときれいなズボンをはいてりゃ、暴力がなくなるってわけじゃないのにな。どうやって暴力と向き合うかが大切なんだ。何を着るかじゃなくてな。
--- ハシエンダについてはどう? ハシエンダが閉まってしまったのはマンチェスターにとって大きな損失だと思う?
S: ああ、そうだな。でも、ハシエンダは伝説となったんだ。ハシエンダが象徴していたもののために、大きな損失となってるんだ。
--- 子供たちはどう?子供達は君の生活を変えた?
S: 俺はLAとNYに子供が1人ずついる。変わるとか変わらないとかじゃないんだ。マンデーズ時代、18歳のころにはワイルドな生活をしてたさ。で、20代になって子供ができて、でもそれって普通のことだろう?で、30代になってスローダウンし始めて、今40代になった。でも俺は退屈なヤツにはならないから、そういうことはいつでもやってるんだよ。
--- 君は今までツアーやフェスティバルを何度も経験しているけど、特に印象的なものはある?本当に楽しんだツアーとか。
S: グラストンベリー、Booty Camp、GMAX。2日間やってすごくよかった。200人から500人の前でやってたんだけど、それが2000人になって、そこからアリーナへと進んでいったんだ。
--- 今後の活動は?
S: いくつかすごくエキサイティングなものをやる予定だ。でも、今のところ秘密だ。
--- 日本盤の「Amateur Night in the Big Top」のCDを見たんだけど、日本の有名なデザイナーのカズキがデザインしてるんだね。アートワークには満足してる?
S: ああ、すごく満足してるよ、素晴らしいね。
--- あと、アディダスにすごく仲のいい友人がいるって聞いたけど、彼について教えて。
S: ああ、アディダスにギャリーっている友達がいるんだ。いつもスニーカーの面倒見てくれて、すげえいい奴だよ。
--- BEZについて話してくれる?
S: ああ、そうだな、俺は今BEZとも仕事をしていて、あいつのアルバムのリミックスをやってるんだ。素晴らしい作品だからとても楽しみなんだ。
--- 日本から戻ったばかりなんだけど、いろんな人から君が今何をやってるのか聞かれたよ。
S: ああ、日本のファンへ。俺は決して怠け者なわけじゃなくて、7年間レコードを作るのをやめてただけなんだ。この5年間は俺の金が全部凍結されてしまった。前のマネージャーと争っててな。おかげで何千ポンドもそれにかかった。マネージャーは法的な救済をされたんだけど、俺はされなかったんだ。裁判で何もかもなくなっちまった。時間もかかったし。BBCでもドキュメンタリーが放送されてるんだ。これが終わったら、俺はまた全力でカムバックするさ。
(interview by Gary Aspden and RUSH! PRODUCTION)

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