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INTERVIEW インタビュー
ロブ・スミス インタビュー
--- まず始めに、このプロジェクトについての簡単な説明をお願いします。
ロブ・スミス(以下R):
このプロジェクトの背後にあった夢は、レゲエのインストトラックのセレクションをブリストルからジャマイカへ持って行って、自分たちがレゲエにはまっていくきっかけとなったヒーローや刺激を与えてくれるようなボーカリストを探し出してコラボレーションをする、というものだった。このスタイルの音楽やプロダクションに対する僕らの情熱に火をつけるような人たちだ。このアルバムは、その旅の音楽による物語なんだ。
--- パートナーのアンディはどんな人なのでしょう?
R: アンディ・スコールズは昔からの友人で、レゲエやルーツ・ミュージックを愛する男だ。僕らは80年代からサウンド・システムのセッションに参加したりしてお互いのことを知っていた。それで、最終的にはスミス&マイティやモア・ロッカーズのプロジェクトでも一緒に仕事をするようになったんだ。彼は"Down in Rwanda"でボーカルをやっているんだよ。当時、アンディは"Red Eye Hi Power Sound System"のメンバーで、もっと最近では"Henry and Louis"というプロダクション・チームの1人として活動している。"Henry and Louis"のもう1人はJack Lundyといって、彼も初期のブリストル・シーンの一部だったんだ。アンディとジャック("Henry and Louis"名義で)と、僕("Blue and Red"名義で)は「Dub」と「Time will Tell」の基礎となるミックスを作った。アンディがそれをかばんに詰めてジャマイカへ飛び、僕らのレゲエ・ヒーローとヴォーカル録りをしてきた。彼が冒険を終えてブリストルへ戻ってきて、僕が最終ミックスとプロダクションをここで完成させたんだ。
--- ボーカリストについて教えてください。簡単なバイオやどのようにして選んだのかなども含めて。
R: ジャマイカでのアンディの使命は、過去から現在までのボーカリストと連絡をとることだった。彼はまず、"UB40"のプロデューサーであるPops DowlingにキングストンのJungle Redスタジオで会った。Pops DowlingがWillie WilliamsやJohnny Clarkeなどのボーカリストを捜すのを手伝ってくれた。この2人は70年代から80年代にかけての有名なシンガーだ(Willie Williamsのバージョンの「Armagedon Times」はオールタイム・クラッシック・レゲエ・チューンとして有名)。それから、Sugar Minottの手助けもあって、アンディはBen Diceなど昔の巨匠に連絡を取ることができた。Ben Diceは70年代に活躍した人で、当時のサウンドシステムの"DJ"によって有名になったトースティングなスタイルの人だ。それから、Steve Harper、彼はShalomという名前でも知られているんだけど、今回のアルバム中最も強力なトラックである「Jah Jah never fail I」でボーカルをとってくれている。この曲は今UK中のサウンドシステムでプレイされていて、Jah Shakaもすごく気に入っているトラックなんだ。過去の作品で有名なアーティストだけでなく、アンディは幸運にも若いアーティスト、GaddielやKerosene Oilなんかも見つけることができた。彼らはレコーディング当時17歳だったんだ。こういったアーティストたちが1人ずつJungle Redスタジオに招かれて、このプロジェクトのために録音をしてくれたんだ。全部で12人のボーカリストがこのアルバムにフィーチュアされているよ。
--- 歌詞はどのようなことを言っているのですか。
R: このアルバムは、本質的にはルーツのアルバムだけど、現代的なフレイヴァーと伝統的なフレイヴァーを含んでいる。「Boss Man」や「Pacey」のような曲では、貧困との闘いについて歌っているし、Willie Williamsの「Children」やShalomの「Rise Up」、Johnny Clarkeの「Love and Understanding」は未来についてや若者を導くような内容になっている。ほかの曲は、愛や希望、結束などを歌っていたり、スピリチュアリティに触れることを促したり、創造主や世界の創造をたたえるものもある。Bob Marleyの有名なクラッシックスである「Natural Mystic」のPaceyによるバージョンも入っているし、同じくPaceyの歌う「Little Way Different」(これもポピュラーなレゲエの曲)は、我々は皆独自の存在であるという事実を認める曲だ。
--- このアルバムを作り終えたときどんな気持ちでしたか。客観的に聴いてどう思いますか。
R: このアルバムにはとても満足しているよ!僕らは目的を達成できたと思ったし、このプロジェクトにこんなに多くの才能あるアーティストが参加してくれて光栄だと思う。客観的には、僕はこのアルバムはオーセンティックでクラシックなレゲエのスタイルを持ちつつ、現在のサウンドとブリストル・フレイヴァーを併せ持っていると思う。そのミックスは、完全にUKとジャマイカのものだ!
--- 最初にアルバムを出したときの反響は?
R: このアルバムはアメリカのB.S.Iというレゲエ・レーベルから限定でリリースされた。B.S.Iは今閉鎖してしまったんだけど、最初にリリースされたときのレビューでは、どれも素晴らしい評価だった。プロモーションもディストリビューションも限られていたにもかかわらず。ずっとこのアルバムについていろいろな人から聞かれていたし、これに対する関心は今でも強く感じる。だから、再発すべきなんじゃないかと思ったんだ。
--- あなたにとって、ダブ/レゲエとは?何がきっかけではまっていったの?
R: 70年代まだ学生だったころにレゲエに興味を持ち始めた。レゲエは、自分にとって重要だと思った最初の音楽なんだ。プロダクションのスタイルはエキサイティングでフューチャリスティックだと思った。音のダイナミックさやメッセージ性の高い歌詞とかがね。深みを持った音楽であり、それまで聴いていた"ポップ"なサウンドから抜きん出ていた。ダブ/レゲエは僕にとって常に教えられるものであり、今の自分のプロダクションや作品のスタイルの基礎となっているものだ。僕の作品のほとんどがダブのアティチュードから生まれているんだ。
--- スリー・ストライプ・サウンドシステムについて教えてください。
R: スリー・ストライプは、ワイルド・バンチと同じ頃、80年代に活動したサウンドシステムとそのクルーで、ファンクやソウル、レゲエをプレイしていた。その頃のファッションは、アディダスがベースで、だからスリー・ストライプって呼んでたんだ!大きなスピーカーは黒く塗られ、側面には斜めに3本の線が描かれていた。クルーには、レイ・マイティやレノックスらの創設者のほかにもたくさんのメンバーがいた。スリー・ストライプ・サウンド・システムはブリスルのセント・ポール・カーニバルやUKのいろんなサマー・フェスティバルでプレイしていた。僕がレイと知り合ってからは、一緒にインディのレーベルをやろうということになって、そのレーベルを"スリー・ストライプ・レコーズ"という名前にしたんだ。最初のスリー・ストライプのリリースは、スミス&マイティの"Anyone"だった。その前、80年代初頭に、僕は親友のBasil Andersonと一緒に"レストリクション"というレゲエ・バンドを組んでいた。UK中をツアーして、グラストンベリー・フェスティバルでマッド・プロフェッサーとプレイしたこともある。Pigbagやマーク・スチュアートの"マフィア"や"アスワド"らのバンドと一緒にノッティング・ヒル・カーニバルに出演したこともある。(当時はよくレゲエバンドがパンクバンドと一緒のイベントでプレイしていたんだ)僕は当時ギターを弾いていて、サウンド・エンジニアは、後に"ポーティスヘッド"のメンバーとなるDave McDonaldだったんだ。レストリクションは「Action」という12インチをリリースした。これはマッド・プロフェッサーがミックスをやって、ロンドンのアリワ・スタジオでレコーディングしたんだ。ジャマイカのStudio One時代の有名なトロンボーン奏者、Vin Gordanをフィーチュアして作った。
--- ジャマイカで生まれたダブは、ブリストル、ロンドン、NYへと広がり、今ではドイツや日本も含む全世界へ広がっていますよね。15年以上、世界中でDJをしてきたあなたはこのダブの広がりとその変化を感じていると思うのですが、80年代や90年代と比べて、最近のクラブやオーディエンスをどう思いますか。
R: ダブやレゲエはタイムレスだということが証明されたと思う。そして今でも以前と同じように楽しまれている。最近、若いオーディエンスが、ニュースクールなダブのサウンドだけでなく、クラシックなレゲエのトラックを楽しんでいるのを目の当たりにしている。レゲエはずっとロックやポップのようなタイプの音楽と平行して存在してきた。影響力が強く、パンクスや、ドレッド、若者から年をとった人、あらゆる国の人々に愛されてきた。初期のロック・ステディ、ブルー・ビート、スカから、ルーツ、ダブ、ステッパーズ、ラバーズ・ロック、そして、ラガ、ダンス・ホールまで、それに、ジャングルやドラムン・ベース、ヒップ・ホップやツー・ステップにもその影響は明らかであることを考えれば、レゲエというものはいつでも存在してきたし、これからもずっとそうであることを願っているよ。時のみが知るけど‥‥
--- 最後に、このアルバムの聴きどころを教えてください。
R: これは、「純正」のアルバムではないけれど、僕らはトラディショナルかつモダンなやり方の融合でレゲエを正直に表現しようとしてきた。才能あるボーカリストの参加によって、苦悩や愛、未来などといったメッセージを生きたものとして取り入れることができた。僕らにとって、このアルバムは過去と現在をつなぐものであり、ブリストルとジャマイカをつなぐものなんだ。レゲエを愛するたくさんの男たちによって作られたアルバムだ!‥‥そして、一番重要な部分は‥‥レゲエらしさだ!!
Interveiw by RUSH! PRODUCTION

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