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INTERVIEW インタビュー
ケニー・ラーキン インタビュー
--- 『AZIMUTH』や『メタファー』の頃を思い出してください。あるいは、「SERENAX」とか、あの当時のあなたはどんな気持ちで音楽を作っていました?あの当時のあなたは何を理想としていました?ちなみに僕は、当時の彼女に捧げたとい う「SERENAX』を聴いて、あなたの音楽が好きになったんですよ。
ケニー・ラーキン(以下K):
ずいぶん前のことなのでよく覚えていないんだけど、基本的には当時僕の生活の中で起こっていたことや気持ちが表れている。音楽をハートで作る人と、頭で作る人がいるけれど、僕は「ハート」で作るほうなんだ。
--- 「AZIMUTH」や「メタファー」の頃のあなたには、フュージョンとファンクがその音楽のコンセプトにあったと思うのですが、いかがでしょうか?
K: そうだね。僕の音楽のほとんどは黒人音楽の影響をゆるく受けているんだ。
--- ロスに越した理由を教えてください。
K: コメディをフル・タイムでやるためにLAに越してきたんだ。音楽に加えてね。それと、天候がすごくいいんだよ。音楽業界に限らず、エンターテインメント業界の人にとっては、たくさんのチャンスがある街だしね。
--- JUAN ATKINSもロスですが、会ったりしているんですか。
K: ホアンはもうLAには住んでいないよ。デトロイトに戻ったと思う。ケヴィンやデリックほど、ホアンとは親しくなかったんだよね。別のグループって感じで。
--- デリックやカールたちとはコンタクトを取っています?
K: ああ、この2人は僕の親友だ。それから、ケヴィン・サンダーソンとステイシー・ピューレンもね。
--- アメリカの今のアンダーグラウンドのダンス・カルチャーはどんなですか。
K: アメリカにはもうアンダーグラウンドなダンスシーンは存在しないと思う。ダンス・ミュージックのポピュラーな形は何かと言えば、トランスなんだ。げーっ!!!アンダーグラウンドなサウンドは今や「オーバーグラウンド」になってしまった。アンダーグラウンドなシーンはアメリカ以外のところにしか残っていないよ。
--- 僕はいまだにデトロイトのアンダーグラウンドな文化が生き残っていることは本当にすごいなと思うんですけど、この20年ほどのデトロイトの状況の推移について、あなたなりに説明してもらえますか?
K: 2001年の9月にLAに移ってから、デトロイトで起こっていることを知らないんだ。1年に何度かデトロイトに帰るけど、そのときに、クラブがどんどんトランス寄りになっているのを見るくらいだ。
--- DJイエローとの出会いについて教えてください。また、彼の音楽的感覚をどのように思うか教えてください。
K: アランには数年前にLAで会った。共通の友人に紹介されたんだ。アランを僕の車に乗せて一緒にクラブへ行ったんだけど、そのとき車の中でダーク・コメディのアルバムのラフ・バージョンをかけていたんだ。でもアランには、それが僕の曲だとは言わなかった。そしたら、アランがこれは誰の曲かときいてきて、「僕のだよ」と言ったらすごく興奮したんだ。それで、「これを出すレーベルを探してるんだよね」って言ったんだ。アランには長い音楽キャリアがあって、それはデトロイト出身の僕らのものによく似ていた。彼はジャズが大好きで、僕を含めた黒人よりもずっと深くジャズにはまってるんだ!!だから、彼と一緒に仕事をするというのは難しいことではなかった。このプロジェクトをどうしたいかということを説明する必要すらなかったよ。彼にとっても、それは明白だったからね。
--- 彼のような人がいまになってデトロイト・テクノに興味を持つって面白いな、と僕は思っているんですが、どうですか? きっと彼は、10年前にイギリスのレーベルがデトロイトに興味を示したのとはまた違った角度からデトロイトを見ていると思うんですけど、どうなんでしょうね?
K: アランはデトロイト・テクノがずっと好きだった。彼はデトロイト出身のプロデューサーを本当にリスペクトしているんだ。カール・クレイグとかジェフ・ミルズとかね。
--- 昨年リリースしたダーク・コメディのアルバムでは、ハウスの要素を大幅に取り入れていました、というかハウスのアルバムでしたが、あなたがこうもハウスに接近した理由は何ですか? 昔はもっとテクノぽかったじゃないですか?
K: 自分自身をテクノに限定するのにうんざりしていたから、ファンクやジャズやハウスの要素の強いアルバムを作ろうと思ったんだ。もう、典型的なエレクトロをやるだけでは満足できないんだよ。ずっとチャレンジしていきたいし、それをするためには、完全に違うスタイルの音楽をやる以外に方法がなかったんだ。ジャンルをミックスすることはデトロイトの人がずっとやっていたことだ。だから僕らのサウンドはあんな風になるんだよ。デトロイトのテクノはファンキーでソウルにあふれているだろう?それは僕らが他の音楽からも影響を受けるようにしているからなんだ。ハウス、ジャズ、ファンク、その他何でも。
--- 『MUSIC SAVES OUR SOUL』というタイトルを付けた根拠を教えてください。
K: タイトルを選んだ理由は、表面的にも、内面的にもいろいろあるんだ。音楽というのは、聴く人を現実逃避させる。ヘッドフォンをつければ、君はどこへでも行くことができるんだ。それに、人生で経験するいろいろなことを切り抜ける助けにもなってくれる。いいときも、悪いときも、平凡なときも、人は音楽を手引きとし、人生で得た体験を思い出すものとして音楽を頼りにする。僕は落ち込んでいるとき、その気分を切り抜けるために音楽に頼るんだ。10年前に撃たれたときも、音楽はその出来事を乗り切るための心の拠り所だったんだ。それで、このタイトルを選んだんだ。
--- かつてあなたは自分の音楽を”エレクトロニック・フュージョン”と定義しましたが、いまは何て定義しますか?
K: そんな風に言った覚えはないけどな。。もしかしたら、何人かのライターが原稿の中でそういう風に書いたのかもしれない。実際僕はそういう呼び名をつけることに反対なんだ。自分の音楽がテクノとかハウスとか呼ばれるのも好きじゃない。でも、もし呼び方にこだわるなら、ソウルのあるエレクトロ・ミュージックってとこかな(笑)
--- ケニーにとって初めてのベスト盤が出るわけですが、どんな感想を持っていますか?
K: すごくエキサイトしているよ。自分の全ての音楽を聴き直して、15年のキャリアからベストと思うものを選ぶのは楽しい作業だよ。ワオ、こんなに長いこと やってるなんて信じられないよ!自分のキャリアの10周年のときにやるべきだったのかもしれないけど、いろいろな理由があってやらなかったんだ。ビジネス的な理由とかね。
--- 自分の中でとくに思い入れが強い曲を教えてください。その理由もね。
K: このベスト盤に入っている曲はどれも自分の中で特別な部分を占めている。というのも、そのとき自分が自分自身と気持ちが本当に通じて「絶頂感」を見いだしたからなんだ。自分が作る全ての曲でそうなるわけじゃないんだ。特別な方法でアーティストがその人自身と気持ちが通じているということを、曲を聴いて感じることがあるはずだよ。聴いて感じることができるんだ。"Tedra"は僕のオールタイム・フェイヴァリットだね。もう1つは"War of the Worlds"。
--- いまあなたが音楽を通して訴えたいメッセージは何ですか?
K: うーん、あんまり音楽を通してメッセージを伝えようとは思ってないよ。人間として自分自身が満足することをやっているだけだ。音楽を作るというのは、僕にとってその1つなんだ。
--- ところでコメディアンとしては最近どんな活動をしているのですか。
K: LAで一番大きなコメディ・クラブでショウケースをしているよ。
--- ところであなたは何故コメディアンになろうとしたんですか? コメディに惹かれた理由も教えてください。
K: 小さいころからずっと僕はコメディアンなんだ。みんなを笑わせる力を持っているんだよ。子供のときに、僕は第2のエディ・マーフィーになるって決めたんだ(笑)。今でもその夢は捨ててないよ。でも、音楽でツアーをしていることが多いし、飯も食べていかなければならない。だからゴールに到達するまでに思ったよりずっと長くかかっている。でも、きっとやってみせるよ。
--- ちなみに好きなコメディ映画とコメディアンは?
K: 好きなコメディアンは、Richard Pryor、Eddie Murphy、Jerry Senifeld、Dave Chappel。好きなコメディー映画?わからないな。。。多分、"Coming to America"かな。すべてのキャラクターをエディ・マーフィーが演じているんだ。僕も違ったキャラクターを演じるのが得意なんだよ。
--- ”BABY BLUES”みたいなユーモラスな曲はあるけど、本格的に笑わせる曲はないですよね? 音楽ではコメディをやらないんですね?
K: 自分の音楽にジョークを持ち込むことはしたくないんだ。その部分は、悪趣味にならないように、微妙にしたいと思っている。間接的にコメディっぽい含みを入れつつ音楽を作ることと、アル・ヤンコビックのようなパロディ音楽の間には、はっきりとした境界線があるよ。僕はそういう音楽スタイルをやりたいとは思わないんだ。
Interveiw by Tsutomu Noda (remix)

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