1994年のある夜、パリの有名なジャズ・キャバレーChez Felixで、イエロー・プロダクションズのスタッフが見たサロメ・ドゥ・バイーアのステージ。すべてはそこから始まった。40名以上のミュージシャン、シンガー、ダンサーから成るそのステージで、彼女は一際目立つ存在感を表していた。独特であり、本物であるサロメの歌声とブラジル、アシッドジャズ、フュージョンが見事に融合されたそのステージに驚嘆したボブ・サンクラーは、イエロー・プロダクションズでリリースする彼のトラックに、サロメのヴォーカルをフィーチュアリングすることになる。
ブラジル出身であるサロメは、世界中をツアーして回り、その独自のパフォーマンスを確立。フランスへ移住後も、数多くのステージをこなし、ブラジルのジャズ系歌姫でであるタニア・マリアともフランス各地で共演。そして、1998年、サロメは遂にボブ・サンクラーと共に作品の制作を開始する。ソニーからリリースされたコンピ"SunSun"にハウス・フレイヴァーな"Xodo"で参加したのを皮切りに、1999年にはボブ・サンクラーと共に、スティーヴィー・ワンダーの"Another Star"をブラジル風にカバーした、"Outro Lugar"を制作。この曲は、アルバム"Bossa trez Jazz"に収録され、世界中のクラブシーンで大ヒットとなる。そして、2002年、サロメは30年のキャリアで、はじめての彼女自身のアルバム、"Cabaret"を発表。ブラジル、サルサ、ジャズそしてエレクトロの要素を盛り込んだこのアルバムは、サロメの豊潤な音楽世界を伝える1枚となっている。 |